隊長と呼ばないで

私が立派な男として成熟するべく修行系の人生を送ってきたことは、このブログの過去記事『千年女優な私。』などにも書きましたが、まあいろいろやりましたよ、むんむんに男くさい人生を幾つも幾つも。

そのなかで私が繰り返したドラマの典型に、
「途中までうまい具合に行くのだが、あと一歩というところでうまくいかなくなり、自分でもあらゆることがどうでもよくなり投げ出して絶望し、挙句の果てに非業の死を遂げる」
というものがありました。
(幾つもの過去生での苦い思い出が甦るので、『タイムボカンシリーズ』のアニメで敵の3人組がいつもあと一歩というところで1つだけ些細なミスを犯してそれが原因でやられる、というシーンを見るのが嫌いでした)

たいていは、軍隊みたいなトコでリーダー的な立場に就き、野心に燃えて部下からも引き立てられるのだけれども、いよいよというところで寝首をかかれたり決勝戦で負けて準優勝(←例えですよ、ほんとの戦争なんかだと、負けたら即……)になったり。
(しかも、その気になれば助かる道、もう一度やりなおす可能性が残されているのに、一度でも失敗したらそれは拭いようのない汚点だという認識から自害することも多かったようです←ファミコンのゲームで装備がボロボロになって勝ち目がなくなったとき、それでも頑張るという選択をせずにリセットボタンを押してしまう子供に似たところがありました)

闘いに明け暮れて、ある程度の勝利の喜びと達成感、仲間と心を通わせるといったポジティブ側の感情を味わいつつ、また同時に敗北の悔しさと悲しみ、憤りといったネガティブな感情も味わえておトク!!酸いも甘いも全部のせ、経験値てんこ盛りの人生一丁あがりぃ!!!
……というメリットがあって、そうしてたんでしょう(苦笑)。

いちおうドラマの枠組み自体は解除できた感はあるのですが、過去生で知り合い(たいていは、自分の部下だったり、当時の私の名声を聞いて尊敬したり憧れたりしてくれていた見知らぬ他人)とばったり会う機会も少なくないわけで。
(私は毎回、なんだかんだいってある程度以上の知名度を獲得するよう設定しているようで、いわば『有名人』ぽい要素が入るので、こちらが相手のことを知らなくても相手が私を知っているというケースが起こりやすいようです)

「ただの勘違いだろ」

で一蹴されるとグゥの音も出ないのですが、初めて会ったり、道ですれ違っただけなのに、相手が「あ!」といった感じで嬉しそうに、もしくはちょっとかしこまって挨拶してくれるということがわりとあります。
私のほうでもなんとなく、「あのときのあいつだな」という、旧知の仲っぽさを感じて、嬉しいようなくすぐったいような、そして申し訳ないような気持ちになることがあります。


毎度、前置きが長いなァ。なんとここからが本題です。

かいつまんで言うと(←ホントか?)、

「先日、とある観光ツアーに参加したところ、一緒になった人たちのなかに、自分のかつての(過去生での)部下(で、今回の人生では見知らぬ他人として転生した人)がいた」

んです。しかも、よりによって今回の人生では相手のほうが相当、年上w

この場合は私のほうが先に気づき、内心「気づかなくていいぞ、もう生まれ変わったんだから」とドキドキしながら、はじめましてと作り笑顔でわざとよそよそしく挨拶したりw

穏便にその日かぎりの付き合いで終わらせようとしたのですが、なぜか一緒に夜、食事をすることになり、その食事の席で(最初はそのつもりじゃなかったのに)酒を飲むことになり、けっこう酔ってしまって。

わりと意識がフラつくくらいまで飲んでしまって、まともな会話はもう無理という状態のなか、一緒に食事をしていた元部下が不意に

「隊長って呼んでいいスか」

と言ったもんだからこっちはテンパるのなんのっって!しかもそれを悟られまいと隠しつつ、

「唐突に何いってんですか」

と“あくまで今回の人生では見ず知らずの他人で、しかもそちらより自分のほうが年下です”演出。

でもそれからその人は、私を呼ぶたびに隊長と言い、いくら訂正しても聞かない始末。

さらにべろんべろんになるまで酔い、お互い肩を組まないと歩けないほどに酩酊して、どうにか勘定を済ませて店を出ることに。

2人とも意識不明寸前で、でも、こうして肩を組んで(おそらくどちらかが負傷したときに)歩くのが言いようもないくらい懐かしくて。

そんなときまた不意に相手が

「やっぱり隊長だったんだ」

と目を潤ませて熱っぽく言うもんだから、こっちもたまらなくなって、目尻の涙を一瞬きつく目を閉じて振り払って、無意識に

「バカ野郎……」

と呟いてました。自分ってこんなに他人に温かく言葉をかけることなんてできたんだ!?と驚くくらい、親しみのこもった口調で。

その直後ボロボロ泣けてきて、

「ごめんな」

とかすれた声で言うのが精一杯。

「いいスよ、全然」

と言われて耐えきれず空を仰いで大きく息を吸い込み、それは満天の澄み切った星空で、

(あのときも、こんなだったなァ……)







まあ、そういうこともあるでしょ。長く生きてると。

長く、長~~~~~~く生きてれば、そりゃあ、ねぇ?
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