読者をなくしたビジネス自己啓発本

クソリプ「はぁ? 読者いますよ? 全然売れてますけど?www」

前々からありはしたけれど、ビジネス自己啓発、という本のジャンルがあること自体が普及したのは、やっぱりK間さん以降ですかね。

で、

「そういう変わった怪しいものを読んじゃうんだ?w」

という偏見寄りながらも、認知はされていきました。

そして、自己啓発本の謳う、今でいう「意識の高さ」は、なんとなく生きてる自分の今を肯定したい(大多数の)人たちの顰蹙を買うようなところもあって、アンチ自己啓発本、みたいな意見の勢力もワーッと盛り上がって。

そのあと、そういう、自己啓発本の信者とアンチの戦いの図式みたいなものさえもが普遍化して、同時に、流行ったがゆえにマーケットが広がって有象無象の自己啓発本がわんさと出版され、そのなかで玉石混交の様相を呈して。

ここでのポイントは「石」があるということじゃなく、石混じりのなかにもちゃんと「玉」があるということ。

アンチ自己啓発本な考え方の人も、さすがにたくさん出ている自己啓発本の山のなかに、1冊くらいマトモでためになることが書いてあることもそりゃあるだろ、という点までは否定できなくなっていったようなところもあって。

そういう成熟した「自己啓発本をめぐる、世の中のみんなの考え方もろもろ」は、地獄のミサワみたいな漫画の風刺や、ツイッターでの皮肉ギャグ的なつぶやきに昇華されていき。

そこで転換が起きた。

何がか、というと

会社に勤めて、会社の仕事を頑張るのは、問答無用に、良いことである。尊いことである……という神話が崩壊した


んです。

自己啓発本を信奉しようが茶化そうがアンチで憎もうが、みんなの心の根底にはまだ、

「社会人は会社に勤めてナンボ。出世できるにこしたことはない。『仕事じゃなくプライベートの充実が優先』と言うのは勝手だけど、そういう人はしょせん、会社での出世競争で勝つという、社会人にとってのアイデンティティを放棄した負け犬なのだ」

という意識が、多分に残っていたような気がします。

でも、そうじゃなくなった。

もはや、会社で頑張るかどうかというのは「その人の趣味」レベルの扱いで、そうでない生き方がダメというわけではなく、いろんな生き方それぞれに魅力なり学びなりがあるのだと、庶民レベルの連中まで、気づいてしまった。

みんなの1人1人のなかで、良くも悪くも、「社会人は会社で頑張るのが本分である」という洗脳が、解けていってしまったわけです。

そうなると、よほどの仕事マニアでもない限りは、「やっぱり家族や愛する人、友達と、仲良く幸せにマイペースで生きるのがいいよね」という(古来からの賢明な)答えに、行き着いてしまうw

まだ部分的に多少以上はモノを言うとはいえ、お金の持つ魔力も、みんなの中で相当、薄れていってしまっている。
ブランドものも、以前のような、人を操り虜にする魅力はない。
そんなものが必要以上になくても問題ない、本質はそこじゃない、と、よりによって「大衆」が気付き始めてしまっている。
オセロの大逆転のときのように、パタパタと次々に盤面(≒集合意識、の比喩)の色が変わっていってしまっている。

学歴も、会社での肩書きも、そしてなにより、年収。つまり、お金という、貨幣経済社会では生存にかかわる度合いが高いとされるものにまで、人はすでに、以前ほどは執着も依存も固執も盲信も、していない。

そうなるともう、「会社で頑張って出世する」ことを、どうしてもそこまでみんなみんながやらなきゃいけないとは思えなくなってくる。そして、そんなことにほんとは興味のない自分の気持ちのほうを(それまでは抑圧して、いけない考え方だと否定して、目をそらせてきたけれど)素直に認めてしまう。認めることへの罪悪感や後ろめたさが幻だと気づいてきてしまっている。正直に納得して、やりたくもないことのために大切な時間を犠牲にして不幸な人生は送りたくない、という決意のほうが、確立してしまっている。

自己啓発本が読者を失った瞬間です。

たとえアンチでも、「意識されている」うちは、まだマシ。
でも、会社などの仕事で出世することの意義を感じなくなった人にとって自己啓発本は、世界一どうでもいい、役に立たないものになってしまうのです。

もちろん、書店から完全に自己啓発本がなくなることは、まだ当面は、ないでしょう。
人はそこまで全員が全員、同じふうには変わるわけではありません。
廃れた古典芸能がかろうじてでもなんでもまだ生き残ってはいるみたいに、自己啓発本というジャンルは、栄枯盛衰のどのフェーズにあろうと、なんだかんだ、残っていくとは思います。それを信奉したり書いたりする人も皆無には、ならないでしょう。

ただそれは、囲碁将棋の定石本とか、愛鳩の友(←雑誌名)みたいな、「とある趣味の人たち向け」の1ジャンルという位置付けに事実上なっていったうえで、という話。

いっそ、「ビジネス」をとった自己啓発のほうが、今後は展望が明るいかもしれません。

会社に骨を埋めるよりも家族が大事、という基本に人々が立ち返るにつれ、それまでは「売れないジャンル」の代名詞ともいえたはずの「子育て本」「しつけ・教育マニュアル」系の本が、バカ売れしています。
(今は『子供を東大に入れる』系のしつけ・教育本が、何匹目のどぜう狙いなんだテメエら、と出版社各社にうんざりするほど出てますね)

そして一見、そういうジャンルには興味も関心もなさそうな主婦が、女性が、不動産投資や株、FXの本をみっちり読んでいます。

40代以上の男性が、バンダイプレミアムなどが出す、かつてのアニメヒーローの豪華グッズに何万円もつぎ込み、漫画を全集で大人買いします。

自分が不必要に、望んでもいないのに、会社で出世するという方法で金と権力だかを追いかけ(なきゃいけないんじゃないかという洗脳に縛られた状態でい)るのをやめた分のエネルギーが、そのまま、子育てや自分の資産運用、個人的に好きなことという、プライベート、パーソナルな部分に向けられているのです。

クソリプ「それってどの統計に裏付けられた意見ですか? まさか主観?w あのー、無責任にいい加減なことネットで書くと、あなたがバカだってバレますよ?w」

宝塚音楽学校があくまでも独自路線を貫くみたいに、「あくまでも自己啓発本に書かれてることを実践してる社員を良しとして評価する」まるでそこだけ異次元空間みたいな独自カルチャーの会社が、今後も残っていくとor新しく生まれると、面白いのかもしれませんね。(誰にとって?)

はー、戯れ言戯れ言。




ビジネス自己啓発本マニアな方へ。やっぱりビジネス自己啓発本が提唱するような「デキる人」になりたいあなたへ。
「もしあなたが幸せで自分に自信があり、ありのままの自分でも十分に愛されると感じ、実際そうなっていると思える境遇・人間関係の中で暮らすことができているとして、それでもそういう路線なんですか?」

そこで「ええ、もちろん!」って答えるようじゃないと!

愛鳩の友を読んでる人は、時代のトレンドとか全然関係なく鳩を愛してあの雑誌を読むわけで。
その人たちに負けないだけの、ビジネス自己啓発への愛を持って、アキバのアニメヲタクにも負けない「萌え」でスキルアップに命を捧げるとか、平気でやれるようでなきゃ、どうするよ?

中途半端な覚悟なら、ビジネス自己啓発本マニア気取りなんざ、やめちまえ!このメッキが!!(キャシー塚本ふうに)
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