42歳、住所不定、無職。

著者である久野浩司さんの自伝。



ただ自慢げに「俺様スゲーだろ」系の逸話を散りばめたというよりは(そのきらいもありますが)、テーマは

セレンディピティ

でしょうか。

著者自身もすべてを把握しているというよりは、「運命はなんとなくでも自分が思い描いている方向性になんだかんだいって開けていくものなんじゃないのかなぁ」という思惑を、「自分の場合はこうだったんだけどね」という体裁で綴っている感じ。

要約すると

「小学校お受験をしてプロレスラーになりたいと願いつつヘビメタに傾倒してアメリカに留学して帰ってきて旅行代理店に就職してレコード会社に転職して大ヒットアーティストを手がけて恋愛本を書くようになり結婚して子供ができてカナダに移住した」

という、どちらかというと一般的でない経歴なのですが、これは
「いわゆる世間みんなが正しいと言う生き方をしなくてもダメじゃないし、どうとでも可能性は開けていくよ」
という励ましでもあるのかなぁ、なんて思いました。

面白い?のは、章ごと(しかも見開き1ページで終わっちゃったりして短い)に、「あなたの場合はどうでしたか?」と、記入するページがあること。

つまり、著者の話は究極をいえば

読者が自分自身について省みるとっかかり、ツカミでしかない

んですね。

人って、いきなり「あなたはどう思いますか?」と聞かれると口ごもるけど、誰かが小学校の頃のエピソードを話したあとだと、「私の場合は~」と、聞かれてもいないのに言いたくなったりするw

そこをうまく突いてくれてる感じ。

著者様の輝かしい経歴を、ありがたく拝読する……というへりくだった読み方というよりは、いっそ、著者という1人の人間のプライバシーの切り売りを物見遊山的に見物して

「あー、自分はどうだったっけなー」

と思いめぐらす(その時点で本のことはどうでもよくなっている)くらいでいいんじゃないかと。
そういう読み方をしてくれてぜんぜん構わないよ!読む人が素敵な発見をできるなら!……と著者さんもきっと思っているはずだよ!(根拠ゼロ)

軽い体裁で文字も大きめで行間もたっぷりあり、比較的、薄め本なのでサクサク読めますが、後半……特に、H.I.Sに就職して3ヶ月で自分らしくないと意気消沈して辞めたくなったこと。でもそこで実績もなく辞めたら次に繋がらないからと1年半頑張ってチームリーダーとして認められ新人賞を獲るまで諦めなかったこと。そして倍率500倍超のトイズファクトリーに就職したあたり~は、短い言葉ながらも、現実を自分で切り開くにはこのくらいやらないとダメだよね、的なネタをさらりと書いてある。甘々な生活をしながらも不満だけは一丁前、的な生き方をして「人生、もっとラクに良くならないかなぁ」と思ってるだけの人は、背筋が引き締まる心地がするかも。

この著者を良いと思うか・好きと感じるか・すごいと尊敬できるかをすべて置いておくとしても、単純に、テイストというかが独特で、本の企画(切り口)としては珍しいし、面白いなぁと思います。
こういう説教くさくなく自慢に終始するでもなく自伝って書けるものなんだ、という発見というか。

アマゾンのレビューでも高評価なのがうなずけました。おすすめ。

(注:とにかくポジティブなことやうまくいった話に対して、なんとしてでも認めず、どんなに根拠のない決めつけや偏見やでっちあげでもいいから揚げ足をとってせせら笑って皮肉ってネガティブなツッコミを入れてご満悦、というタイプの人には、ぜんぜん適さないのでおすすめしません←あ、でもわざわざ本を買って読んで著者のことをボロクソにコケにして『こんなのたまたま運が良かっただけのたいしたことない奴が勘違いしちゃった自慢話に過ぎないw』とかなんとかテキトーな辛口毒舌評論家気取りになって独りで脳内では勝ち誇って脳内快感物質ドバドバでラリラリ、というオナニータイムにはうってつけ鴨ね!!)
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