除脂肪メソッド

ご存知ですか?



ある意味、言葉遊びでしかない感ありますが、コンセプトを体現できてるタイトルではあるかと(←何様)。

表紙にでっかく×がついてるわりには結局はダイエット・減量についての本ですw

要するに、水分でも筋肉でもなんでもいいから体重が減りさえすればいい、というのは健康的なダイエット・減量とはいえなくて、あくまでも「脂肪がどれだけ減らせたか、いかに筋肉量が減ったり弱ったりすることなく除脂肪を実現できたか……という視点を持ちましょう」ということでしょうか。

また、単純に「体重が少ないほうが、ある人より健康とは限らない」という、よく考えれば当たり前のはずなのにいつのまにか最近はみんなそうは思わなくなってきてることを再認識させてくれます。

内容は、「ある程度の知識がすでにある人が、精読すれば」わかりやすい、という感じ。

GI値などといった単語、またそれが上昇することが何を意味するか、などの前提知識がないと、ここで述べられていることがチンプンカンプンかもしれません。

著者も、その黒幕ゲストとして対談に登場する石井直方教授も、東京大学院での師弟関係にあるわけで、どことなく学術的なレポートふうな文体。

イラストなどを交えて、どうにかこうにか内容が難しく見えないようにする工夫が(おそらく著者たちというよりは書籍の編集者の力添えによって?)されていますが、ある程度の難解さは拭いきれないとはいえ、よくここまで、一般人が読んでも理解できる解説に落とし込めたなぁと(妙なところで)感心しましたw

で、これを読んで役立てるとなれば、それこそ毎日の食事や運動を、ノートに記録して計算機で数値を計算して……という緻密な作業を黙々とやれるタイプの人なんじゃないかな、と。
(そういえばボディビルダーの佐々木卓さんが『ボディビルディングは運動神経が要らず、計算したとおりに運動や食事、休息などをしていけば誰でも結果が出せるスポーツ競技なので、(運動音痴だったりセンスとしては心許ないこともあるであろう?)東大生には向いている種目』と言っていて、なんとなく納得できます←私の周囲の東大卒の人たちも、結構な割合で、しかもアラサーの年齢を越えてだいたい仕事のペースや社内での立ち位置を確立できて余裕がでてきたあたりで、肉体改造にハマるんですよね。で、持ち前の生真面目さ?をいかんなく発揮して、ものすごく細かい理論をみっちり暗記して習得して、ノートに記録をつけて、体重計だけでなく巻尺などで体のあらゆる箇所のサイズを測り、まさに理系の大学院生が実験するかのように自らの肉体を改造していくw)

まぁでもちゃんと体型管理をしていこう、いま肥満など問題あるとされる状態にある人が改善をしよう、となったら、面倒かもしれないけど、こういうちゃんとした知識をとりあえずは仕入れちゃったほうが、後々、便利な印象。
なぜかというと、こういう理論って、細かい枝葉としてはどんどん進化していくけど、根本理論としての人体の仕組みそのものがそこまで急速に変わるわけじゃないから、一生モンの知識なんですよね。

なぜ人が太るのか、痩せるのか。筋肉量が減るとどんな弊害があるのか、水分だけで痩せることがなぜよくないのか……といったことを知らずに体重計の数値だけを気にして、その数値の増減ですらなんとなくでやっていると、ある種の「神頼み」になります。

わけもわからずなんとなく生活して、祈るような気持ちで体重計に乗り、減っていたら大喜び、増えていたらショックでがっかり。それもその瞬間だけで、何も改善も学習もしない繰り返し。そしていつしか、本人の意識と無意識の間で「もし痩せていたら神様が私に味方してくれた証拠。ありがたや」的な思考が根付き、どんどん強化されます。
これはつまり、「私は自分で自分の体型も含めた人生の舵取りをすることができない。私の人生に何が起こるかは、神のみぞ知る」みたいな、人生の主導権の放棄に繋がります。そうなるともう、偶然なにか良いことが起きるのを期待するだけの無力な人、になっていきます。

そして引き寄せの法則ばりに類友ばかりになり、周囲を見渡しても同じような人ばかりなので

「だいたいさぁ、世の中うまくいかないもんよ。みんなそうじゃない?私は悪くない。あーあ、宝くじでも当たらないかなー。なんか面白いこと起きないかなー」

と言うだけの路線まっしぐら。

いや、べつにそれがいけないわけじゃないですよね。そういうふうに生きる自由も権利も資格もあるし、そう生きていることが、夢を叶える路線の生き方をしている人と比べて、いけないわけでも劣っているわけでもない。すべては平等……っつって?
P.S

こういう、「物事はすべて、ある法則のとおりに、計算式のとおりに成り立っている!」系の、いわば唯物論的な本って、(その著者の思考がアーリマン的なものに毒されているということが往々にしてあるように)偏りを感じるものなんですが、この本に関しては、それがないのが不思議というか、新鮮でした。

あくまでも計算式などは、研究により実証された、しかるべき理論のとおりに歪みなく誠実に提示しているのですが、だからといって「それだけがすべてだ」と断じることがないんですよね。

あくまでも、
「こういう理論があるんです。だから、こんなふうにして除脂肪を実現していってはいかがでしょう?」
という、提案の体裁に、良い意味で止まっている。

著者以外にゴールドジムのトレーナーがサプリ摂取のポイントをアドバイスするページがあったり、ダルビッシュなんとかさんについてのコラムが挟まれたり、物理的に紙面上でも多面性というか、ある一方向からだけゴリゴリ1つの論旨を推し進めていく体裁をとっていないのも、書籍の編集の妙としていいなぁ(編集者さんが優秀なんでしょうか)。

また、数値をしっかり述べてはいるけれど、「シルエット」という、まさに一般生活する上ではそこが重要なんじゃない?という印象面についても視点が及んでいて、著者が単なる数字ヲタクではなく、見た目の良さなども含めてメソッドを提唱しているところが、ある意味、安心できます。

石井直方さんやその弟子?生徒?としてのトレーナーさんが書いたトレーニング本は、雨後の筍の如くに無数にありますが、その中でも、コンセプトの際立っている点、そのコンセプトがハリボテでなく内容が伴っている点など踏まえ、傑出しているなぁと感じました。



……なーんて批評家気取りのコメントはいいから、テメエがちゃんと痩せろよデブ、って話ですが。
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