私が黙っているのは

あなたの音楽を聞いているから。

妄想といわれても仕方ないけど、

昔から、人から音楽が聴こえる。

絶え間なく、生きている限り、

人は音楽を奏でている。

それに聴き入るあまり、

無口になってしまう。

気味が悪いと思われても仕方ないよね。

まともにしゃべったこともないのに、

うつろな目をしてうっとり見つめて。

ときには目を閉じて。

変に見えるでしょう? 私の態度。

あなた、自分がどれだけ素敵な音楽を

奏でているか、知ってる?

逆もしかり。

どれだけ明るく社交的に振る舞っていても、

第一印象を良くするテクニックだかを駆使しても、

全部、お見通し。

不協和音で耐えられない騒音。

私は無表情にさりげなく、スルーする。

悪いけど、聴いちゃいられないから。







自分に聴こえるこの音楽を、他の人にも

聴こえるように、物理的な音楽として顕したい。

作曲・編曲を学びたがっているのは、そのため。

(中学のとき、一時期やってたなぁ、そういえば。
 見よう見まねで譜面に起こして、クラスメイトに
 配って訝しがられてた)






いちばんのお気に入りは、終電間際の電車。

眠くて頭が働かない分、心も体も素直になって、

ちょっとくたびれてリラックスして。

それはそれはいい音を奏でるのさ。

大勢いるから、オーケストラの最初の音合わせみたいに

雑多なものではあるけれど、森で聴こえる鳥の声みたいで

それはそれで、味があって面白いよ。

この音を聴いてるなんて、いや、ここに音楽があるだなんて

気づいてるのが私1人だとしても、いやそうだからこそ、

秘密みたいでワクワクして、みんなの音にあわせて

自分も歌うんだ。

ちゃんと耳を澄ますと、太陽系も銀河系もみんなそう。

みんなで音を奏でてる。みんなが音を奏でてる。
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