2014年10月

ゼロ・トゥ・ワン 君はゼロから何を生み出せるか

読みました。

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ゼロ・トゥ・ワン 君はゼロから何を生み出せるかゼロ・トゥ・ワン 君はゼロから何を生み出せるか
(2014/09/25)
ピーター・ティール、ブレイク・マスターズ 他

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他のビジネス書群とは一線を画す情報と叡智の密度で、流し読みをするとかなり勿体ない印象。

いわゆる精神論を説く自己啓発本でもないし、ちゃちゃっと日常に活かせる仕事術みたいなものが書いてあるわけでもありません。

PayPalをはじめ数々の事業を出資者として成功に導いてきた著者の視座だからこそ見えるスケールで、それこそ世界トップレベルで活躍する人たちにも斬新な役立つ情報として受け止められるクオリティ?の内容に感じました。

タイトルにあるとおり、何もないところから何かを生み出す(そして一発屋でポシャらず存続させる)にはどうすればいいか、そのための前提としてどんな知識や考え方を仕込んでおくべきか、が語られます。

肝としては、「独占」と、「競争回避(少なくとも、競争で勝つことが成功だという誤った幻想からの脱却)」らへんかなぁ。



ビジネス書のなかには一定数、「成功者だけが知っているなんとかの法則」みたいな、あらかじめ正解が存在するという前提で、それをここだけの話で教えますよということをまさに情報の価値として出すものがあると思います。
また、「ファーストクラスに乗る人たちのお作法」的な、現時点の社会システムで上のほうにこぎつけられた人たちが実践している行動特性などを説くことで、猿真似の後追いでいいならそこに食い込めるかもよと夢を見させるor教育?するタイプのものもあります。
それらがいけないということではありませんが、すべて「確固たる仕組みがすでに成立し、それが真実として機能している世界」を前提としています(←それが本当に幻想ではなく事実・真実であると捉えるかどうかは人それぞれでしょうが←もしそれが真実だとしたら、なぜ本を読んだすべての人・本に書いてあることを実践したすべての人が成功者ステータスのほうにシフトできていないのでしょうか?)。

が、この本はそういうものとは対極にあるというか、それこそお金についても「人生は宝クジじゃない」の章で「あいまいで楽観的な僕たちの世界」という小タイトルをつけて

・(成功した)創業者はカネの使い道がわからず、大きな銀行に預ける。
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・銀行はどう投資していいかわからず、機関投資家のポートフォリオに広く分散させる。
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・機関投資家はどう運用していいかわからず、株のポートフォリオに広く分散させる。
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・企業は投資を控えてフリー・キャッシュフローを増やすことで株価を上げようとする。そして、使い道に困って配当を出すか、自社株買いを行ない、このサイクルが繰り返される。

と容赦ないw
金銭的成功や名誉的成功(企業の上場など)さえもが、人間の(完璧に賢明とは言えない、どちらというとあいまいで愚かしい、うわついた)思考によるラベル付けをしてナァナァに「なんとなく、良い(はず)」とされる中で、それがあたかも最終ゴールであり成功の極致であるかのように思い込んでるだけで、結局、

社会にどんな、かつてない何かをプラスできたか。
それによって世界をどう変えることができたか。


という視点で見たらどうなの、という、ある意味、まさに世界トップレベル中のトップでないと至れない的な価値観なんですよね。
(だから、『こんだけカネがモノを言い、人から褒められればエゴが満足できて快楽を味わえて、既存の社会システムが認める権力の座に就いてあれこれ指図できていい思い&暮らしができれば万々歳。世界が進化するかどうかなんて知らねえよ』的な人が読むと、ほんとにつまらないと思いますw)

もしかすると現時点でまさにカネや権力を手にして「自分は成功できた、できてる」と鼻高々の人が読んだら、自分を否定されているように感じて怒り心頭!かもしれません。

また、実用性を過度に評価基準として採用してこの本を読んだ人は、「興味深い、斬新で印象的な考え方ではあるけれど、ある意味では絵空事というか、それを知って(日々の生活や仕事に)どう役立つの?という点ではほとんど価値がないなぁ(笑)」みたいな感想に至るとも思います。それもまっこと、そうだと私も感じます。

ただ、これだけいろんなものが出揃ったかに見える世の中において、それでも時間はまだ流れ、世の中がリセットされるでもなくこれまでの社会システムを継承して続いていくうえで、ある種の行き詰まり感や、「すでに成立した成功法則を繰り返すだけ」しかできないのかとがっかりしてる人にとっては福音になるかも。

もちろん、そこまで世界を変革しようとして生きている人でなくとも、たとえば

・勇気のある人は天才よりもさらに珍しい。(P22)
・バブルが引き起こした歪みは、バブルが弾けても消えない。(P31)
・本当に安泰なのは、人生安泰と思わない人だけだ。(P136)

など、ある程度の人生経験?あるいは70,80,90年代以降のビジネスをはじめとする大人社会を見てきた人からすると「あぁ!」と思える名言?がちりばめられており、暇つぶしとして読むうえでも、少なくとも「中身がなくて時間の無駄だった」とはなりにくいような。

最後のらへんでは突如として説得力のない、著名人の特徴をあれこれ実名を挙げつつ語るのですが、何が言いたいのかわからないというか、謎かけみたいな形の駄文ぽい感じになってます(計算……なの?)。
人物の精密なデッサンふうイラストがなぜか添付されるのですが、レディガガだけ全然似てないCGモンスターふうになってるのとか、意図があるんだろうか(文章での紹介も、異端の変人扱いして何か読者にとって参考になる情報を出すでもなく終わってる)。

結論としていきなりシンギュラリティという概念を挙げ、ゼロから1を生み出せるかどうかが僕らに問われている、的な漠然とした〆。

なんなんだろう、最終章の失速っぷりは。。。

まぁでももしビジネスマン、特にこれから会社なりを立ち上げようって人に向けて一言だけ「これ!」というアドバイスを挙げろと言われたら、自分だったら

マフィアと呼べるくらい結束の固い、同じ志を共有する(&異なる個性を持ってチームとして成立する)、一緒に働きたいと思える仲間と(だけ)働け
(学歴や前職など経歴の豪華さ、凄さだけで人を選ぶと失敗するよ)


という箇所を選ぶかなぁ。

さんざん難しい理屈がこの本の中ではわんさと述べられるのですが、突き詰めるとここだよね、という。。。

ご参考までに。
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